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司法書士業務、法律改正やエントラストからの
お知らせ等様々な情報を発信していきます。

空き家対策としての信託の活用

【空き家問題】

最近、『空き家』の増加が社会問題となっているのをご存知ですか?平成25年度の総務省の統計によると、総住宅数の13.5%(820万戸)が空き家となっています。国も本格的に空き家対策に乗り出し、「空き家等対策の推進に関する特別措置法」が平成27年5月26日に全面施行されています。
 空き家となる原因としては、住み替え、介護施設への入居、親の自宅を相続したが既に持ち家がある等が考えられます。

 空き家が放置されると、老朽化した空き家が倒壊するといった防災上の問題、空き家に不法滞在する等の防犯上の問題等が発生し、適正管理されていない空き家があることで周辺地域に多くの弊害をもたらしてしまいます。空き家が倒壊して他人に怪我をさせたりすると、建物の所有者に損害を賠償する責任が生じます。

【空き家予防としての信託の活用事例】 
 所有者が空き家を適正に管理できない場合に備える方法の一つとして、『信託』を利用する方法が考えられます。

 例えば、高齢者の親が身体の不自由のため老人ホームに入居するのに伴って自宅が空き家となるケースを取り上げます。
 将来、所有者である親が認知症により判断能力が衰えてしまうと、自宅の賃貸借契約や売買契約の締結を単独で行うことができなくなります。なお、判断能力の衰えに対応する制度として「成年後見制度」がありますが、信託と成年後見制度との違いは、 信託の概要 をご覧ください。

 高齢者の親(委託者)とその子ども(受託者)との間で、親の自宅を信託財産とする信託契約を締結します。受託者である子どもが自宅の所有者となるため、親に代わって子どもが自宅を賃貸することもできますし、必要に応じて自宅の売却をすることができます。
 ここで注意が必要なのは、家賃収入や売却などによって得た利益を委託者である親が取得するようにしなければ、贈与税の問題が発生する点です。
 また、子どもが信託目的に従って自宅を管理・処分をしているかを受益者の代わりに監督する信託監督人を置くこともできます。

司法書士/AFP  廣濱 翔

【空き家問題】最近、『空き家』の増加が社会問題となっているのをご存知ですか?平成25年度の総務省の統計によると、総住宅数の13.5%(820万戸)が空き家となっています。国も本格的に空き家対策に乗り出し、「空き家等対策の推進に関する特別措置

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終活支援と事業承継のパンフレットを作成しました。

 少子高齢社会を迎えた日本において、老後の財産管理、死後の財産承継や経営者の事業承継を社会問題として取り上げるニュースを見ることが多くなりました。
司法書士法人エントラストでは、少しでもこの問題やそれに対する対策を少しでも分かりやすくお客様に伝えたいとの想いから、『司法書士が教える終活 ~人生の最期を心残りなく迎えるための制度活用~』と『事業承継について考える~会社の未来のために~』のパンフレット2種類を作成しました。

事務所にて配布しておりますので、ご覧になりたい方はお気軽にお問い合わせください。

熊本市東区尾ノ上一丁目44番16号
司法書士法人エントラスト
TEL 096-285-1120

少子高齢社会を迎えた日本において、老後の財産管理、死後の財産承継や経営者の事業承継を社会問題として取り上げるニュースを見ることが多くなりました。司法書士法人エントラストでは、少しでもこの問題やそれに対する対策を少しでも分かりやすくお客様に伝

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家族信託の具体的な活用事例(賃貸アパートオーナーの場合)

 

 前回は、 家族信託の概要 について触れました。今回は、家族信託の具体的な活用事例について説明します。

【意思能力と成年後見制度】
 そもそも法律行為をするためには、意思能力(法律行為をするため、人が有効に意思表示をする能力が必要となります。重い認知症や精神障がい等により、意思能力が不十分な場合は、有効な法律行為ができなくなります。例えば、賃貸アパートの経営のオーナーが重い認知症にかかてしまった場合、新規の賃貸契約や、アパート修繕のための銀行融資を受ける契約等ができなくなってしまいます。
 この場合、一般的には「成年後見制度」を利用し、後見人が賃貸アパートを含めた財産の管理をすることになります。裁判所で選任された後見人の場合、積極的な資産運用をすることができないため、賃貸アパートの経営について必要な契約について 慎重にならざるを得ません。


【家族信託の具体的な活用事例】
 『家族信託』を利用する場合、オーナーが元気な
うちに、ある程度予想できる状況に対して要望を反映できるように、信託契約に賃貸アパートの管理・処分方法(受託者にお願いすること)を盛り込み、信頼できる家族に受託者になってもらいます。
  信託契約により、オーナーが認知症になったとしても、受託者に賃貸アパートの所有権を移転するため、受託者の意思で管理・処分を行うことができます。そのため、受託者は信託目的のために必要であれば、リフォームやアパートの建替え等のために融資を受けることができます。


 賃貸アパートの経営による賃料収入の受取人(受益者)は、オーナー以外の家族等にすることができますが、贈与税に注意する必要があります。
 オーナーが受益者となる場合は、自益信託(委託者=受益者)というものに該当し、信託設定による課税はありません。

 不動産を信託する場合は、法務局における所有権移転登記と信託登記が必要となります。司法書士は不動産登記の専門家ですので、ご相談ください。

熊本市東区 司法書士法人エントラスト 家族信託のページ
※信託のメリット・デメリットを記載しています。

司法書士/AFP  廣濱 翔

 前回は、家族信託の概要について触れました。今回は、家族信託の具体的な活用事例について説明します。【意思能力と成年後見制度】そもそも法律行為をするためには、意思能力(法律行為をするため、人が有効に意思表示をする能力)が必要となります。重い認

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家族信託制度の概要

 

皆さんは、「信託」という言葉についてどういう印象を持っていますか?
 「投資信託」という金融商品の種類から、資産の運用のためのもので元本割れのリスクがある等のイメージがもしかしたら強いかもしれません。

 
 『信託』とは、頼できる人に財産の管理・運用・処分をす制度です。したがって、お金を運用して増やしてもらう投資信託ばかりではなく、不動産、預貯金や株式等(信託財産)を信頼できる人(受託者)に預けて自分(委託者)の代わりに単に管理をしてもらうこともできます。そして、管理・運用等の結果により得られる利益を受け取る人(受益者)は、委託者でもいいですし、委託者以外の第三者とすることもできます。

 受託者として想定されるのは、財産管理や運用のプロである信託銀行等が考えられますが、家族になってもらうこともできます。
 家族に受託者となってもらい、家族に財産の管理・運用等をしてもらう信託のことを、特に『家族信託』といいます。

 家族に受託者になってもらうメリットとしては、
①受託者としての仕事に対して支払う報酬を無償又は信託銀行等に支払う報酬よりも安く抑えることができること
②信託銀行であれば、委託者の要望に対応できる商品があるとは限りませんが、親族や知人に受託者になってもらう場合は、契約により委託者の要望に沿ってオーダーメイドした信託の制度設計をすることができること
等があります。
 なお、受託者を営業(仕事)としてするには、内閣総理大臣の免許が必要となりますので、注意が必要です。

 家族信託の具体的な活用事例については、次回以降に説明します。

熊本市東区 司法書士法人エントラスト 家族信託のページ
※信託のメリット・デメリットを記載しています。

司法書士/AFP  廣濱 翔

 皆さんは、「信託」という言葉についてどういう印象を持っていますか?「投資信託」という金融商品の種類から、資産の運用のためのもので元本割れのリスクがある等のイメージがもしかしたら強いかもしれません。『信託』とは、信頼できる人に財産の管理・運

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遺言の方式の種類(自筆証書遺言と公正証書遺言)

 

遺言を書いている人

 今回は、遺言の方式の種類について書きます。

 

 まず、「遺言」とは、自分の死後の遺産の分配方法を決めることができるものです(他にも遺言の効用はありますが、今回は割愛します)。

 

 遺言といえば自分の死後に関することであるため、なかなか書く気になりませんが、一般の家庭においても、相続発生後に遺産の分配を巡って思いがけない紛争に発展することがあります。相続に関する紛争を未然に防止し、かつ、遺言者の意思を実現するためにも遺言を作成することをお勧めします。

 遺言は一度作成すると書き直しができないというものでもなく、親族関係、心境や財産の変化に応じて、遺言を作成し直すこともできますので、将来のことが分からなくてもまずは現時点の状況で書いてみてください。

 

 

 遺言の方式には主なものとして、「自筆証書遺言」と「公正証書遺言」があります。
他に「秘密証書遺言」がありますが、利用件数が少ないため今回は説明を省きます。

 以下の表は、比較したものですので、遺言を作成する際の参考にされてください。
※赤字部分は短所となります。

 

 

自筆証書遺言

公正証書遺言

概要

遺言者が全文、日付及び氏名を自書し、押印して作成。

※他人に書いてもらったり、ワープロ、ビデオ等による作成は無効。

証人2名以上の立会いの下、遺言者の遺言内容を確認した公証人が作成する遺言に遺言者、証人及び公証人が署名・押印をして作成。

保管場所

自身で保管。破棄、偽造や変造の恐れあり。

原本は公証人役場で保管。破棄、偽造や変造の恐れなし。

証人

不要。

→遺言の存在と内容を秘密にできる。

2名必要。

推定相続人及び受遺者並びにこれらの配偶者及び直系血族(両親、子ども)等は、証人になれない

家庭裁判所の検認手続き

必要。

不要。

→直ちに遺言内容の実現が可能。

費用

不要。

必要(相続財産の時価や財産をもらう人の数による)。

方式の不備

方式が厳格に決まっているため、方式不備により無効となる危険性あり。

公証人が関与するため、方式不備の心配なし。

その他

いつでもどこででも作成可能。

加除訂正方法も厳格に定められている。

 病気等のため公証人役場にいけない場合は公証人が出張して作成可(出張手数料加算)。

 口が聞けない人や耳が聞こえない人は筆談や手話通訳を介して公証人に意思が伝えられれば作成可。

 

 

 遺言の作成方法がよく分からない等、遺言についてご不明な点がありましたらお問い合わせ又はご相談ください。

 また、公正証書遺言作成のため証人をお願いする人がいない、遺言を実現するための遺言執行者をお願いする人がいない場合は、司法書士に証人や遺言執行者を依頼することもできます。

 

 

司法書士・AFP 廣濱翔

 今回は、遺言の方式の種類について書きます。 まず、「遺言」とは、自分の死後の遺産の分配方法を決めることができるものです(他にも遺言の効用はありますが、今回は割愛します)。 遺言といえば自分の死後に関することであるため、なかなか書く気になり

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