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不動産(土地や建物)に関する遺言書を作成する場合の注意点②

 前回に引き続き、不動産(土地や建物)に関する遺言書を作成する場合の注意点を挙げていきます。

2 私道等持分の記載漏れチェック
 自宅の前面道路が私道でご近所の方と持分を持ち合っていることがたまにあります。他には、ゴミ捨て場や井戸等の土地を近隣者と共有で持っていることもあります。
 そういう場合は、自宅の土地と建物だけではなく、私道等に対する持分を忘れずに遺言書に記載しておく必要があります。遺言書に記載がなければ、自宅を相続した人が私道等の持分を取得するために他の相続人と話し合いをする必要が出てきます。
 私道等の有無については、自宅を購入した際の売買契約書、固定資産名寄せ帳、字図、地積測量図等で調査すると良いでしょう。
 不動産に対する持分の有無がよく分からなければ、司法書士等専門家にご相談ください。

3 「相続させる」と「遺贈する」の使い分け
 遺言書を書く場合においては、財産を「あげる」や「任せる」と書くことが想定されますが、できれば、「相続させる」又は「遺贈する」のどちらかの文言を使用したほうが遺言に基づく相続手続がスムーズに行えます。

 「相続させる」又は「遺贈する」の使い分けは、財産を譲り受ける方が相続人か相続人以外かで異なります。
 財産を譲り受ける方が相続人の場合→「相続させる」・「遺贈する」の両方が使えます。
 財産を譲り受ける方が相続人以外の場合→「遺贈する」のみ使えます。
※つまり、「相続させる」は相手が相続人の場合にしか使用できないということです。

 そして、特に不動産を相続人に渡したい場合は、「相続させる」の方を使います。理由は、不動産の名義変更を行う際、「相続」と「遺贈」では関与する人が異なるからです。

 「相続させる」→相続人が単独で所有権移転登記を行うことができる(他の相続人の協力不要)。
 「遺贈する」→受遺者(遺贈で財産をもらった人)と、相続人又は遺言執行者が共同で所有権移転登記をする。

不動産に関する遺言書を作成する場合は、ぜひ参考にされてください。

司法書士・AFP 廣濱 翔

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