不動産(土地や建物)に関する遺言書を作成する場合の注意点①
不動産の相続登記のご依頼を受けた場合、通常、以下の3つの方法のいずれかで決まった遺産の分け方で不動産の名義変更手続きを進めていきます。
遺産の分配方法
① 遺言(被相続人による遺産の分配方法の指定)
② 遺産分割(共同相続人全員による遺産の分け方の協議)
③ 法定相続(遺言や遺産分割によらない場合の民法で決まった法定相続分)
最近は、遺言を作成する方が増加しており、遺言に基づく相続登記のご依頼を受けることが増えてきました。しかしながら、特に自筆証書遺言の場合、その遺言に基づいて相続登記を行う場合に苦慮することも多いです。
今回から2回に分けて、不動産(土地や建物)に関する遺言書を作成する場合の注意点をいくつか挙げ、遺言書を作成する際の参考にしていただきたいと思います。
1 不動産の特定方法
まず、不動産の住居表示の「住所」と、不動産登記簿上の「所在・地番」は違うものです。具体的には、以下のように記載が異なることが多いです。
具体例
住所の場合:熊本市東区尾ノ上一丁目〇番〇号
合志市須屋〇番地
所在・地番の場合:熊本市東区尾ノ上一丁目〇番の土地
合志市須屋字佐土原〇番の土地
熊本市東区尾ノ上一丁目〇番地 家屋番号 〇番の建物
遺言における不動産の書き方は、できるだけ、不動産登記簿謄本(登記事項証明書)の記載どおり、「所在・地番」で特定する必要があります。
遺言を書く際はできるだけ最新の登記簿謄本(登記事項証明書)を取得し、そこに記載されているとおりに書きます。
登記簿謄本は、法務局で取得することができ、以前と違って対象の不動産を管轄する法務局以外の法務局でも取得できるようになっています。
また、登記簿謄本を取得する際も、住所ではなく、「所在・地番」で特定する必要があります。
記載例
土地の場合
所 在 熊本市東区尾ノ上一丁目
地 番 〇番
地 目 宅地
地 積 200㎡
建物の場合
所 在 熊本市東区尾ノ上一丁目〇番地
家屋番号 〇番
種 類 居宅
構 造 木造かわらぶき2階建
床 面 積 1階 60㎡
2階 40㎡
次回は、私道持分や、相続させると遺贈するの使い分けについて、掲載予定です。
司法書士法人エントラストでは、遺言書の作成に関する相談も受け付けております。遺言についてお悩みの方はお問い合わせください。
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司法書士/AFP 廣濱 翔
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