司法書士のお仕事~会社のお客様編⑤~
今回で「司法書士のお仕事~会社のお客様編~」は最後になります。
4 事業承継
縁さんは、70歳になり、引退を考えるようになりました。
そこで、今回は、後継者がいないケースと、いるケースと分けてご紹介します。
司法書士法人エントラストの「事業承継」のページ
①後継者がいないケース
縁さんには、子どもが一人いますが
、大企業に勤めており、縁さんの飲食店を引き継ぐ意思はありません。また、長年一緒に働いてきた従業員もいますが、会社を継いでくれる人はいませんでした。この場合、会社を廃業する手続きが必要となります。
会社の資産が負債より大きい場合は、「解散」及び「清算結了」の登記手続きを行うことになります。
「解散」は、清算手続きに入る状態のことを指し、清算人が会社の資産や負債の調査、売掛金の回収や未払金の支払いを行います。清算人は会社法の定めに従って、決定します。
清算の手続きが終わると、清算人は清算に係る計算をして、社員(ここでは従業員ではなく出資者の事を指します。)の承認を得ます。そして、清算結了の登記を法務局に申請して会社の登記簿を閉鎖します。
なお、会社の資産が負債より少ない(債務超過)場合は、裁判所の破産手続きにより清算を行うことになります。
②後継者がいるケース
縁さんの子どもが会社を引き継ぐ等、後継者がいる場合は、事業承継に向けた準備を行います。現状の把握(会社の現状、出資者・親族関係、経営者個人財産)、会社の中長期的な経営計画(将来の見込み)、後継者の育成方法、経営権(出資持分)の承継方法・時期、事業用資産、信用等の経営資産の承継方法・時期、相続税対策(相続税額の試算・納税方法の検討)等について、検討し、円滑に事業を承継できるよう計画を立てます。
縁さんは、司法書士と税理士に相談した上で、以下のように行うことにしました。
・縁さんの子どもに出資をさせ、なおかつ、会社の役員(合同会社の業務執行社員)に選任
・事業承継に必要な部分について、定款の一部変更
・遺言書の作成(縁さんの死亡時に縁さんの出資持分が縁さんの子どもに承継する等)
・縁さんの子どもが役員に就任して5年を目処に縁さんの子どもを社長(合同会社の代表社員)に選任 など
縁さんの会社の事業承継は計画通りうまくいき、縁さんは安心して子どもに会社を託すことができました。
今回で、『司法書士のお仕事~会社のお客様編~』は終わりになります。今回のシリーズを通して司法書士のことをあまり知らなかった方が、司法書士のお仕事のイメージを少しでもできれば嬉しいです。
司法書士のお仕事~会社のお客様編①~
司法書士のお仕事~会社のお客様編②~
司法書士のお仕事~会社のお客様編③~
司法書士のお仕事~会社のお客様編④~
司法書士・AFP(ファイナンシャルプランナー) 廣濱 翔
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