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一般の家庭においても、相続が発生した場合には遺産の分配を巡って思いがけない紛争に発展することもあります。相続に関する紛争を未然に防止し、かつ、遺言者の意思を実現するためにも遺言書を作成しておきましょう。
遺言には主に次の機能があります。遺言は判断能力がない状態では作成できませんので、お元気なうちに作成しておくことをお勧めします。一度作成した後でも財産状況や気持ちの変化により何度でも遺言書は作成し直せます。
遺言がなければ、相続人全員で遺産分割の話し合いをする必要があります。相続人全員が遺産分割に合意できなければ、家庭裁判所で遺産分割調停(審判)の手続きを行うことになってしまい、多くの時間と労力をかけることになります。
遺産分割で問題が発生するような次の場合には特に遺言の作成の必要性が高いといえます。
法定相続人 | 法定相続分 | 遺留分 |
---|---|---|
配偶者のみ | 1 | 1/2 |
配偶者+ 子ども等直系卑属(第1順位) |
配偶者 1/2 直系卑属 1/2 |
1/4 1/4 |
配偶者+ 両親等直系尊属(第2順位) |
配偶者 2/3 直系尊属 1/3 |
1/3 1/6 |
配偶者+ 兄弟姉妹(又は甥姪) (第3順位) |
配偶者 3/4 兄弟姉妹(又は甥姪) 3/4 |
1/2 なし |
子ども等直系卑属のみ | 1 | 1/2 |
両親等直系尊属のみ | 1 | 1/3 |
兄弟姉妹のみ | 1 | なし |
遺言の方式には主なものとして、自筆証書遺言と公正証書遺言があります。
概要 | 遺言者が全文、日付及び氏名を自書し、押印して作成。 ※他人に書いてもらったり、ワープロ、ビデオ等による作成は無効。 |
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保管場所 | 自身で保管。 破棄、偽造や変造の恐れあり。 |
証人 | 不要。 →遺言の存在と内容を秘密にできる。 |
家庭裁判所の 検認手続き |
必要。 |
費用 | 不要。 |
方式の不備 | 方式が厳格に決まっているため、方式不備により無効となる危険性あり。 |
その他 | いつでもどこででも作成可能。 方加除訂正方法も厳格に定められている。 |
概要 | 証人2名以上の立会いの下、遺言者の遺言内容を確認した公証人が作成する遺言に遺言者、証人及び公証人が署名・押印をして作成。 |
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保管場所 | 原本は公証人役場で保管。 破棄、偽造や変造の恐れなし。 |
証人 | 2名必要。推定相続人及び受遺者並びにこれらの配偶者及び直系血族(両親、子ども)等は、証人になれない。 |
家庭裁判所の 検認手続き |
不要。 →直ちに遺言内容の実現が可能。 |
費用 | 必要(相続財産の時価や財産をもらう人の数による)。 |
方式の不備 | 公証人が関与するため、方式不備の心配なし。 |
その他 | 病気等のため公証人役場にいけない場合は公証人が出張して作成可(出張手数料加算)。 口が聞けない人や耳が聞こえない人は筆談や手話通訳を介して公証人に意思が伝えられれば作成可。 |
※「検認」とは、相続人に対して遺言の存在及びその内容を知らせるとともに、遺言書の形状、加除訂正の状態、日付、署名など検認の日現在における遺言書の内容を明確にして遺言書の偽造・変造を防止するための手続です。遺言の有効・無効を判断する手続ではありません。
※満15歳以上であり、意思能力があれば遺言を作成することができます。
※2人以上が共同して遺言をすることはできません。